フリーランスとして安定した収入を得るようになると、毎年の所得税の納付額も自然と増えていきます。ある年を境に「予定納税の通知書」 が税務署から届き、初めてその制度の存在に直面する方も少なくありません。予定納税は、税務上の義務であると同時に、資金繰りや納税計画において非常に重要な役割を果たします。
とりわけベテランのフリーランスにとっては、収入の季節変動や売上予測の精度が向上する一方で、所得の変動幅も大きくなりがちです。その中で予定納税を正しく理解し、減額申請や資金の確保などの対応を適切に行うことは、事業の安定運営とキャッシュフローの最適化に直結します。
本記事では、予定納税の基本から実際の納付方法、忘れた場合のリスクや、還付される場合の利息まで、フリーランスが知っておくべきポイントを網羅的に解説します。通知書が届いても焦らず、理性的に行動できるよう、ぜひ最後までご一読ください。
目次
1. 所得税の予定納税とは 2. 対象となる条件と金額の仕組み 3. 納税のタイミングと納付方法(振替・e-Tax・現金など) 納付方法一覧 4. 減額申請をすべきパターンと申請の流れ 減額申請の例: 減額申請の流れ: 5. 未納・延滞のリスクと延滞税の計算ルール 6. 予定納税で払いすぎた場合の対応と還付加算金 7. 納税準備預金の活用と資金管理術 利用メリット: 8. 会計処理の仕訳と勘定科目(freee・マネーフォワード利用者向け) 例)普通預金で第1期分80,000円を納税した場合 9. 副業会社員や法人化検討中の人が気をつけるべき点 10. まとめ:通知書が届いたら、まず確認すべきこと 〈フリーランスエンジニア案件はmijicaへ〉所得税の予定納税とは、前年の所得税額に基づいて一定額を事前に納める制度で、フリーランスや個人事業主にとっては避けて通れないルールの一つです。国税庁は、前年分の確定申告で所得税の納税額が15万円を超えた場合、その納税者を翌年の予定納税対象者とし、6月中旬に通知書を送付します。
予定納税は、年間所得が不安定なフリーランスにとって資金繰りに大きな影響を及ぼす要素です。一度に支払う税金の額が大きくなることを避けるため、7月と11月に2回に分けて前納する仕組みになっています。
予定納税の対象となるのは、前年分の「所得税および復興特別所得税」の合計納税額が15万円を超えた方です。支払う金額は、原則としてその合計税額の3分の2。これを2等分して、7月と11月にそれぞれ半分ずつ納めます。
たとえば、前年の所得税が60万円であれば、予定納税額は40万円。第1期分(7月)と第2期分(11月)にそれぞれ20万円ずつ納める必要があります。ただし、特別控除や災害減免、前年と大きく異なる収入見込みなどがある場合には例外が適用されることもあります。
予定納税の納付期限は、第1期が7月31日、第2期が11月30日です(いずれも休日を挟む場合は翌営業日)。通知書と共に届く納付書を使えば、以下の方法で納税可能です。
振替納税 :事前に税務署へ口座情報を登録すると、納税日当日に自動で引き落とし。資金管理がしやすく、手数料も不要。
e-Tax(電子納税) :国税庁サイトから直接オンラインで納税。インターネットバンキングまたはダイレクト納付に対応。
クレジットカード納付 :国税クレジットカードお支払いサイトを使用。利便性は高いが、手数料が発生。
スマホアプリ納付 :PayPayやd払いなどに対応。30万円以下であればスマホのみで完結可能。
コンビニ納付 :バーコード付き納付書を使って、主要コンビニで現金払い。
金融機関窓口納付 :銀行や信用金庫などで直接現金納付。
事業環境は常に変動します。前年より明らかに所得が減少していると見込まれる場合、予定納税額が過大になる可能性があります。このような場合は「予定納税額の減額申請」を行うことで、納税負担を軽減することができます。
受託案件が減少し、年間売上が前年比マイナス30%に落ち込んだ
医療費が大幅に増加し、所得控除が増える見込み
天災や事故など、突発的な支出が発生
減額申請書を国税庁サイトで入手
所得の見積計算書を添付
税務署に7月15日(第1期分)または11月15日(第2期分)までに提出
承認されれば、通知に記載された予定納税額より減額された金額で納付可能となります。
予定納税は納付義務がある税金です。納付期限を過ぎると、延滞税 というペナルティが発生します。延滞税は納付日によって次のように異なります。
納期限から2ヶ月以内 :原則 年2.4%
2ヶ月超 :原則 年8.7%(2025年現在)
延滞税は日割計算されるため、数日遅れただけでも加算されます。さらに、納税義務を放置すると督促状の発行や、悪質と判断された場合は財産差押え等の強制執行に発展する可能性もあります。
資金繰りが厳しい場合でも、早めに税務署へ相談すれば分納や猶予措置がとれることもあります。
予定納税は、あくまで「見込み納税」なので、実際の所得税が少なければ、確定申告により**還付(返金)**されます。
さらに、還付には「還付加算金」が付き、これは実質的に高利回りの利息収入 と捉えることもできます。
たとえば:
還付加算金は「年0.9%(2024年基準)」が適用
銀行の定期預金と比較して、圧倒的に利率が高い
そのため、資金に余裕がある人は減額申請をあえて行わず、予定納税後に還付される戦略も現実的です。
「納税準備預金」とは、納税専用の預金口座で、納税目的でのみ引き出しができる制度です。
預金利息に対する課税が非課税(20.315%が免除)
強制的に資金を分離し、使い込みを防げる
銀行によっては高金利商品を提供している場合も
ベテランフリーランスにとっては、予期せぬ税負担への備えとして強力なツールです。納税月の直前に資金が足りないという事態を防ぐためにも、日常的に資金をプールしておく習慣が重要です。
予定納税は「事業主貸」として記帳します。経費ではないため、損益計算書には影響を与えません。
借方:事業主貸 80,000円
貸方:普通預金 80,000円
摘要:第1期予定納税
freeeやマネーフォワードクラウド会計を使っている場合は、「取引」から「事業主貸」を選択するだけでOKです。
プライベート口座から支払った場合には仕訳不要ですが、領収書などの証拠書類は必ず保管しておきましょう。
予定納税はフリーランスだけでなく、副業所得が年間20万円超の会社員 にも適用されます。また、年間給与が2,000万円を超える高収入の会社員にも確定申告義務があり、予定納税対象者になるケースがあります。
法人化を検討している場合でも、予定納税は「個人の所得税」ベースで課されるため、法人登記の時期によっては両方の納税義務が重なる点に注意が必要です。
予定納税の通知書が届いたら、まず以下のステップを確認しましょう。
納税額を確認する :前年より所得が大きく減る見込みなら、減額申請を検討。
納付期限をカレンダーに記録する :忘れると延滞税が発生。
納付方法を選ぶ :振替納税・e-Tax・アプリなど、無理のない方法を事前準備。
資金繰りを見直す :納税専用預金や積立管理を活用。
予定納税はただの“面倒な前払い”ではなく、上手に活用すればフリーランスの資金管理と信用力アップにつながる制度です。特にベテランのエンジニアとして、経営者視点での資金管理を意識することが、今後の成長と安定につながります。
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