フリーランスとして働くか、それとも起業するか。この選択は、多くのエンジニアにとってキャリアの重要な分岐点となります。それぞれの働き方には異なる特徴やメリット・デメリットがあり、自分に合った選択をするためには、両者の違いをしっかりと理解することが大切です。
本記事では、フリーランスと起業の基本的な違いから、それぞれのメリット・デメリット、さらにフリーランスエンジニアとしてのキャリアアップや起業を目指す際の注意点まで、徹底的に解説していきます。
目次
1.フリーランスと起業の基本的な違い フリーランスとは 起業とは 働き方・責任範囲・収益モデルの比較 2.フリーランスのメリットとデメリット メリット デメリット 3.起業のメリットとデメリット メリット デメリット 4.フリーランスで実績を積む フリーランス→起業のステップ Step1:安定した収益基盤の構築 Step2:法人化して事業領域を拡大 Step3:マーケティング・資金調達スキルの強化 Step4:ミッション・ビジョン・バリューの明文化と組織浸透 5.まとめ 〈フリーランスエンジニア案件はmijicaへ〉フリーランスと起業は、どちらも独立して働くスタイルですが、働き方や責任の範囲、リスクの大きさ、収益構造などに明確な違いがあります。それぞれのスタイルが持つ前提やゴール、求められるスキルセットは大きく異なるため、自分の志向性に合ったスタイルを見極める必要があります。
フリーランスとは、特定の企業や組織に属さず、個人でクライアントからの業務を受託して働くスタイルです。特にITエンジニアの場合は、Web開発、アプリ開発、インフラ構築などの案件を業務委託契約で受けるのが一般的です。企業の正社員と異なり、案件ベースで働くため、職務内容・契約条件・働き方を自ら選択できます。
特徴:
働く時間・場所を選べる柔軟性 :完全リモートや週3勤務など、自由度が高い働き方が可能。副業との相性も良い。
業務の範囲は契約で明確に決められる :成果物ベースで動くことが多いため、スコープが明確。
社会保険や税務などを自分で管理する必要がある :確定申告、健康保険、年金などの手続きはすべて自己責任。
起業とは、自分自身でビジネスを立ち上げ、商品やサービスを提供して収益を得ることです。個人事業主としてスタートするケースもありますが、多くは法人(株式会社、合同会社など)を設立し、チームや仕組みを使って事業をスケールさせていきます。事業主=経営者としての視点が求められ、目の前の業務だけでなく、中長期的な戦略と組織運営が必要になります。
特徴:
経営者としての意思決定・責任を負う :財務、採用、マネジメント、意思決定すべてが自分の責任。
サービスの企画・開発から販売、マーケティング、資金繰りまで多岐にわたる :エンジニアとしての業務に加え、事業運営に必要な業務を幅広く担う必要がある。
成功すれば大きな収益が見込める一方で、失敗リスクも高い :特に初期は資金不足やプロダクト開発の壁に直面することも。
比較項目 |
フリーランス |
起業 |
---|---|---|
所属 |
個人(単独) |
法人 or 個人事業主 |
主な業務 |
クライアントワーク |
経営・商品開発・営業など |
責任範囲 |
契約範囲に限定 |
事業全体への責任 |
収益構造 |
時間×スキル報酬型 |
プロダクトやサービスの利益型 |
リスク |
案件切れや収入不安定 |
資金繰り・倒産リスク |
スケール性 |
低(自分の稼働に依存) |
高(仕組み・人でスケール可能) |
信用力 |
低め(与信や融資が難しい) |
高め(法人登記、実績で信用拡大) |
フリーランスは、個人で柔軟に働けるという魅力がありますが、その反面、すべての責任を自分で負う必要があるという現実もあります。ここではフリーランスとして働く際の利点と課題を、より具体的な視点で見ていきましょう。
自由度が高い
自分のライフスタイルに合わせて働き方を設計できるのは大きな魅力です。たとえば子育て中の方や、地方在住でリモートワークを希望する方にとっては、場所や時間にとらわれずに働けることが大きな利点です。
報酬の上限がない
会社員と異なり、報酬に上限はありません。高単価の案件を複数受けることで月収100万円以上を目指すことも可能です。スキルや実績、営業力によっては大幅な収入アップが見込めます。
自己成長の機会が多い
幅広い案件に関わることで、技術力だけでなく、クライアントとのコミュニケーション力やプロジェクトマネジメント力も自然と磨かれます。自分自身の市場価値を高めていくことができる環境です。
副業との相性が良い
正社員と違って、副業を制限されることがないため、自分の専門分野以外のスキルを伸ばすチャンスにもなります。複数の収入源を確保することでリスク分散も可能になります。
収入の安定性に欠ける
案件が途切れた場合や、契約更新がされなかった場合、収入が突然ゼロになるリスクがあります。そのため、営業活動や顧客管理も重要な業務のひとつです。
社会的信用が低い
フリーランスという立場は、住宅ローンやクレジットカードの審査で不利になることがあります。安定的な収入を証明するのが難しいため、金融面では制約が生まれやすいのが現実です。
全て自己責任
業務の遂行だけでなく、確定申告や納税、健康管理、トラブル対応まで自分で行わなければなりません。会社員と比べて守られる仕組みが少ない分、強い自己管理能力が求められます。
孤独を感じやすい
チームに所属せずに個人で働くことで、人とのつながりを感じにくくなる場合があります。情報交換やスキルアップの機会を自らつくる意識が必要です。
起業には、フリーランスとは異なるスケール感と責任が求められます。自らのビジョンを形にできる自由度がある一方で、多くのプレッシャーとリスクも伴います。以下では起業の利点と注意点について詳しく説明します。
大きなビジネスに挑戦できる
自分が信じるアイデアや課題解決に向けて、自由にビジネスを設計・実行できます。社会に大きな価値を提供できる可能性があり、その達成感は計り知れません。
仕組みで収益を上げられる
自分の稼働に依存せず、商品・サービス・チームの力で売上を生み出すことが可能です。長期的にはストック型の収益構造を構築することもでき、時間的な自由も手に入れやすくなります。
ブランドや企業価値を育てられる
継続的に良いサービスを提供し続けることで、顧客からの信頼やファンを獲得し、自社ブランドを育てていくことができます。結果として採用や資金調達にも良い影響を与えます。
M&AやIPOといった選択肢がある
成長した企業は、第三者への売却(M&A)や株式上場(IPO)といった出口戦略を描くことができ、大きな経済的リターンを得る可能性もあります。
リスクと責任が大きい
起業には初期投資や赤字期間が付きものです。売上が伸びなければ倒産するリスクもあり、経営者としての精神的な負担は大きくなります。
業務が多岐にわたる
技術職であっても、営業・採用・広報・法務など幅広い領域に関わる必要があります。時間やリソースをどこに使うかの判断が、事業の成否を分けるポイントになります。
人材・資金調達の壁
優秀な人材の確保や資金調達は、スタートアップ初期における最難関の一つです。信頼を得るには、明確なビジョンや実績が求められます。
ストレスが大きい
売上のプレッシャーや社員の生活を背負う責任、取引先や顧客との対応など、日々多くの決断と対応を求められます。メンタルの安定を保つ工夫が欠かせません。キャリアアップと移行のポイント
フリーランスとしてのキャリアは、起業を目指すうえで非常に良いトレーニングの場となります。特にエンジニアやクリエイターのようなスキルベースの職種では、自分の専門性を活かして小さく始め、実績を積みながら徐々にステップアップしていくことが可能です。
まずは案件を1つ1つ丁寧にこなして信頼を得ることが重要です。納期を守る、品質を担保する、クライアントとのコミュニケーションを大切にする──このような基本動作を積み重ねることで、リピートや紹介といった“信頼経由”の案件が増えていきます。
また、自分の得意分野を深掘りして特化することで、市場価値が高まり、高単価の案件を獲得しやすくなります。たとえば「Ruby on Railsでのリファクタリングに特化」「Shopify専門エンジニア」など、ニッチな専門性を打ち出すことが差別化につながります。
継続的な収入源が生まれ、生活費や事業投資に十分な余裕が出てきた段階で、「このまま個人で続けるのか、それとも事業化してスケールさせるのか」といった選択肢が現実味を帯びてきます。
起業は「いきなり始める」よりも、「フリーランスとして実績を積んだうえでの自然な延長」として捉える方が、成功確率は高まります。以下は、その移行をスムーズに行うための4つのステップです。
フリーランスとして最低限の生活を支える収入だけでなく、将来的な事業投資に使える余剰資金を確保できるようになることが第一ステップです。具体的には、複数の固定契約や高単価案件を抱え、月収ベースで安定して50万〜80万円以上の水準を維持できる状態を目指しましょう。この段階では「誰にどんな価値を提供できるか」の軸が明確になっていることが重要です。
収益の安定とともに、法人化を検討します。法人にすることで、取引先の信頼性が高まり、融資や補助金、社員雇用などの選択肢が広がります。最初は一人社長でも構いませんが、外注やアルバイト、業務委託などを活用し、徐々に業務を分担する体制を作っていくことが、次のフェーズに進むカギとなります。事業内容も、単なる受託ではなく、自社サービスの開発やサブスクリプションモデルなど、スケーラブルなモデルへと進化させる余地があります。
ここからは「モノを作るスキル」だけではなく、「売る力」「資金を集める力」が求められます。WebサイトやSNSを通じたブランディング、ターゲット市場の明確化、ユーザーインタビュー、LTV(顧客生涯価値)の計測など、マーケティングの基礎を押さえましょう。また、融資・補助金・エンジェル投資・VCといった資金調達の選択肢についても情報収集を進め、事業の継続と成長を支える手段を準備しておくことが大切です。
最後に、経営者としてチームや顧客に向けて「なぜこの事業をやっているのか」「どこに向かいたいのか」「何を大切にしているのか」を明文化します。これは採用・広報・サービス設計・組織文化形成すべての土台になります。まだ自分一人のフェーズだとしても、価値観を言語化し始めることで、今後仲間を巻き込む準備ができます。
このように、フリーランスから起業へと移行するには、戦略と段階を意識することが不可欠です。一歩ずつ着実に進めることで、着実に事業としての地盤を固めていくことができるでしょう。
フリーランスと起業、それぞれに魅力と課題が存在します。自由と責任、安定と挑戦、個人と組織。どちらが正解というわけではなく、「自分は何を実現したいのか」「どんな働き方が心地よいか」を軸に選ぶことが大切です。
フリーランス: スキルで生き、自分の裁量で働く自由型。
起業: 仕組みとチームで価値を創り出す経営型。
選択肢に迷う場合は、まずはフリーランスとして始め、小さな事業の種を育てながら将来の起業を見据える「段階的アプローチ」が最もリスクの低い方法です。人生100年時代における柔軟なキャリア戦略として、ぜひ自分に合った選択をしてみてください。
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